好みだけではダメかもね

…ウエディングドレス

私自身、花嫁衣裳にさしたるこだわりはなかった。
好みのデザインは色々考えてはいたけれど、オーダーメイドなんて頭になかったし、お色直しも全然する気がなかった。和風の式・披露宴なら考えるけれど、一生に(多分)一度の純白のドレスを、わざわざ途中で着替えなくてもね…。お金だって馬鹿にならないし、それにお色直し退場があると、会場にいられる時間が少なくなってしまう。それよりは…と考えたわけで。

でも、これにひそかに反対している人がいた。 花ムコ殿のお母様、つまりお義母さんです。
男二人の兄弟を育てたお義母さんは、本当は娘が欲しかったらしく、娘のウェディングドレスをいっしょに選ぶことが夢だったそうな…。

「ねえ、一緒にドレスを選ばせて貰っても、いい?」
と、お義母さんは遠慮がちに聞いてきた。私の母を差し置いて、と思ったみたい。でも、私の実母は地方だし、「娘は娘」の放任主義。ドレスを選ぶために上京するような人ではない(念のため「こっちにきて一緒に選ぶ?」と聞いたら、「会場で見るのを楽しみにしてるから」だって)。
お義母さんに 「是非お願いします」と言うと、もう楽しみで楽しみでしかたがないという感じで…。

あらかじめ式場の衣装室で、サイズを確認し、後日式場指定のフェアの会場へ。 (私の式場、衣装合わせが他より遅いと思う…。私なんて、一ヶ月切ってたし)
お義母さんは、張り切っていろんなドレスを物色しては、
「わあ、ほら、これ!ねえ、着てみてー!」
「あ、こんなのも素敵ね」
「あら、あの人が着ているの、どう?」
と楽しそう。逆に、こういう会場が恥ずかしい花ムコ殿は、サングラスまでして言葉少なでした。男の人って、こういうとき、あんまり当てにならないかも?

さて、実際に選ぶ段になって。
私がいいと思ったシンプルでスレンダーなドレスは、お義母さんに反対されてしまった!

ここで問題?になったのが、「お色直しをしない」ということ。

「お色直しをしないなら、あんまりシンプルだと寂しいわ…やっぱり、花嫁さんの衣装は存在感がないと…。ねえ、本当にお色直し、しないの?(不満)…もう着られないのよ?」

そう、お義母さんは、花嫁がピラピラと着飾った姿を見るのを、何より楽しみにしているのでした。シンプルなドレスなど面白いはずがない。
(いつもロングスカートの私は「普段着と変わらない」とまでいわれてしまった…)

一方花ムコ殿も、「君に着る気があるなら、せっかくなんだし…」と、お色直しをさせたい様子。それまで段取りや準備、お金のことで頭がいっぱいだった私は、「花嫁らしくピラピラすることも、役目?の一つなのかなー」と、妙な納得の仕方をしてしまったのでした。

(結局、お色直しにドレスを着替えることはしなかったけど、ヘアチェンジだけはしました。ブーケと髪形を変えただけでもだいぶ印象が変わって、評判よかったですよ!)

そうこうしているうちに、素敵なドレス発見!
花嫁さんたちがとっかえひっかえ試着していたので、更衣室と舞台を行ったり来たりで、それまでドレス置き場に戻される暇がなかったらしい。

決して地味じゃないけどハデハデでもなく、繊細なレースと上品な光沢のある生地、トレーンを引いた華やかなデザイン(安っぽい評論家みたいだ…)が、とにかく他のどのドレスよりも断然素敵!考えていたものよりもずいぶん華やいだ感じだけれど、それでもとにかく一目惚れ。
新作の大人気のドレスだそうで、私が仮予約した直後も同じ日に借りたいという人が現れ、一悶着あったりもしたけれど、とにかくそのドレスを借りることが出来て、大満足!
突然結婚式が楽しみになってきて…。

ドレスって、やっぱり花嫁にとっては魔法のようなもの。私のようなものでさえ、今でもあのドレスを思い出すと、ウキウキした気分になってしまうくらい。
シンプルばやりだけど、お義母さんのいった通り、「もう着られないもの(多分)」なわけだし、パーっとしたものを選ぶのも悪くないんじゃないかなと思う。

今考えると、当初考えていたようなシンプルなものでは、多分華やかで広い会場に負けてしまっただろうし…。私の場合、花嫁の存在感を出すためには、中身が不十分な分外側で何とかしないとねぇ…(^^;)ヾ

ちなみに、私の式場のレンタル料は、他の店なら2着レンタル、もしくはちょっとしたドレスをオーダーできるくらい、高い!!! (私たちの場合、夏季料金?で無料でしたけど)しかも、持ち込みは別料金(3万円だったかな?)という、阿漕な商売…。

最近はオーダーする花嫁さんも多いようですが、もし相談された場合、「高いからだめ!」と頭ごなしに言わず、調べてみる価値はあると思いますよ。