あげたいモノは ほしいモノ?

…引き出物

私は地方の出身なので、地元の友人の結婚式では、引き出物がとにかく大きい。年配の方を中心に、「大きくて重くなければいけない」という伝統がいまだに残っている。それに、かけるお金もそこそこ。

たとえば私の弟の場合、ワイングラスを引き出物にしようと思っていたところ、同郷のお嫁さんのご実家に「そんな軽くて小さなもの、恥ずかしくて、お客さんにお渡しできません!」と大反対された。で、これなら、と選ばれたのが、なんと毛布

つまり、私のお客さんの多くは、そういう土地からやってくる。で、私自身も、そういう式に多く出ている。

対して、花ムコ殿は生まれも育ちも東京。引き出物は、小さくて軽い物が多いらしい。
しかも奴自身「引き出物なんて、もらってよかったと思ったことなんて一度もない」と、相変わらず。そして、「そんなものにお金をかけるなんて、ばかばかしいよ」…だから、極力安いものにしよう、と言う。

花ムコ殿がそういうのはわかる。はっきり言って、他人にはケチな男だ。が、お義母さんには内心ちょっと驚いた。

「安くていいわよ、だって、他の人たちも安いのよ。せいぜい3000円くらいじゃない?もう物なんて誰も欲しがらないわよ。引き出物と引き菓子、一つずつで十分!」(※)
…えーっ。…それ、安すぎない?
それに、ひとつづつだけで本当に大丈夫かなあ…?

田舎の友人たちからは結構なものをいただいている。引き出物に引き菓子ひとつづつなんてこと、友人に限っては一度もない。出来ればこちらもちゃんとしたものを持って帰ってもらいたい(重い必要はないけど)。

いっそ中身を別にしてくれとも言ってみたけど、それも却下された。
…まあ、私の方からは親戚もこないし、しょうがないか…。

(でも結局その値段でいいものは見つからず、そう安くはならなかったですよ)

あれこれ悩んだ挙句、単身で来る来賓には、二人で選んだワイングラスを贈ることにし、夫婦で出席する方の分はお義母さんに選んでもらうことになった。で、結果は、一口皿?のセット。
これは直径4,5センチ位の小皿が8枚セットになったもの。塗りもきれいで、上品でかわいらしい。…そう、とてもかわいいけど、…でもこれ…

「ウニとかね、珍味、ちょっとしたものを一口だけ出したいときに、こういうのは便利なのよー、ご家庭のある方には、絶対役に立つわ!」

う、うううーーーん…。絶対、役に、立つんだろうか…
お義母さんは料理が大好きで、しかもお皿や盛り付けも、いつも凝っている。一度の食事に出される品数も半端じゃなく、遊びに行くと、出されたお皿全てに箸をつけるのが大変なくらい。私の実家ように、大皿でドカドカ出して皆でつつく家庭とは、端から常識が違うわけ…。
…でも、うちは親戚がこないから、それでいいのよね…とはいっても、姉なんかはこれだけじゃあ怒りそうだなぁ…(モロに地方感覚な人)

今度は引き菓子。
どうせならおいしいお菓子を…と探し回っているうちにたどり着いたのが、神戸の某有名店のマドレーヌ。
ためしに買って食べてみたけど、…おいしい!お菓子嫌いの花ムコ殿がおいしいといったくらい。

でも問題は、またしても値段と数。
1箱は、小さいマドレーヌが5個で750円。2箱にすると、1500円。 1箱では小さくて、せいぜい500円にしか見えない。でも2箱じゃあ高すぎる。
うううーっ、1000円のものを作ってくれよーっ…。

思い余った私は、他のお店で、おしゃれなパッケージに入ったスティックパイを見つけた。1000円。しかも、新製品。食べてみたけれど、そこそこおいしい。もう、これにしちゃおうかな…

花ムコ殿とお義母さんに相談しようと、両方買って花ムコ殿の家へ。

その結果。

「こっちでいいわよ、1箱で十分!まあ、おいしいわー、このマドレーヌ…。お菓子を食べ慣れた人なら、ちゃんと値段がわかるわよ…」

私の心配は、一笑に付された。

念のため、実家の母にも報告すると、
「いいんじゃない、気にしなくて。あちらにあわせなさい」
…ということで、今ひとつ不安をぬぐいきれないまま、引き出物と引き菓子は決定した。
こういうのって、育った環境が違うと色々大変…。私の場合親戚が来ないことが幸いしたけど。

後日姉に、「○○さん(義兄)が、こういう物の方がよかったってさ」と、安物のマグカップを指して言われてしまった。
ちなみに姉のときは、引き出物の総額は10,000円程とか。

肉親は厳しい…。

※後で知ったことだけれど、義母は親戚をたくさん呼びたかったのに花ムコ殿に「俺たちが資金を出すんだから」と言われていたらしく、そういうところでケチった(?)ようです…