幸せの種かトラブルの種か

…ドラジェ

結婚披露宴って、花嫁さんと来賓が、遠い気がする。

今でこそ、花嫁さんが客席の間を回るのが珍しくなくなったけど、ちょっと前までは、花嫁さんは高砂でお客さんを見下ろしていた。

友達の綺麗な花嫁衣裳が見られて、こちらもわいわいはしゃいでいるけど、それも最初のうちだけ。そのうち単なる食事会のようになってしまう。(余興があっても、あまり見ていないしなー)

花嫁さんと話がしたければ、お色直し退場の後を追いかけて、とっ捕まえるか、そうでなければ、式の後しばらく粘って、話せる時間を待つ。
式の間はといえば、花嫁さんが近くに来るのはキャンドルサービスのときくらい。でもこれ、言葉を交わす時間なんてないんだよね…。

それって、なんだかつまんなくない?

私は、来てくれた一人一人に挨拶がしたかった。でも、ただ挨拶して回るのも今ひとつ締まらない。だから、既に定番化しつつある、ドラジェサービスがいいと思ったんだけど。ちょっと平凡かな?

ドラジェは、アーモンドをチョコレートと砂糖でコーティングした祝い菓子。「幸せの種」の意味があるらしい。 ヨーロッパでは、結婚式を終えた花嫁さんが自分のベールを小さく切って、それでドラジェを包み、来てくれた人たちに配るんだそう。

まあ、そこまでは出来ないとしても(借り物だしね)、幸せのおすそわけということで、ドラジェサービスは縁起よさそう。
それに一人一人に接することが出来るし、一つ一つのテーブルで時間を取って、お互いの紹介などが出来ればいいかな、と。

そんなわけで私は、余興などの時間をほとんど取らずに、一つ一つのテーブルを回る時間を多めに考えた。
(結局、一人一人に渡すことは、式場側に「他のお客さんが退屈しますから…」と却下されちゃったけど。BGVとか、いろいろ考えたのになー)

でも、これもまた花ムコ殿に反対された。

「ドラジェって、あの、おもちゃみたいなお菓子でしょ?あんなのだれも欲しくないよ…マズイしさあ」

おもちゃみたい、というのは反論しない。かわいい色の粒つぶは、確かにおもちゃみたい。でも、そこがかわいいんじゃない…。第一、縁起もの(西洋版紅白饅頭…というと、イメージが崩れるけど)なんだから、チョコレートを配るのとは意味が違う。
でも、味はどうかな…。そんなに不味かったっけ??

「えっ?あんなものが、そんなに高いの?…うわ、馬鹿みたい…」

うるさいなあ、自分で作ればいいんでしょ!ドラジェは袋入りの大きなものを買って、全部自分でラッピングするつもりですっ!

「でも、あれを配られたって、意味わかんないよ、俺も貰ったことがあるけど、変なお菓子をもらったって思っただけで…」

そんなのとっくの昔にちゃーんと考えてるワイ、きちんと ドラジェの意味を書いたメッセージカードを一緒に入れるから、ご心配なくっ!!!

でも、これがまた我ながら手間のかかることを考えてしまった…

不織布の小さな袋を使って、シャツの襟にリボンを結んだような形にラッピング。搬入のギリギリまでかかりました、これは。
でも、安い材料費でかわいいものが出来て、けっこう満足。

さて、当日の評判はさることながら、意外だったのが、花ムコ殿の親戚に喜ばれたこと。
人数より多めに作ったので、残りは自分の分として残すつもりだったのに、当日花ムコ殿の実家に泊まった親戚たちが、その夜のうちにみんなほどいて食べてしまったんだそう。どうやら味も結構おいしかったらしい…。

そして、皆「あのカードがあったから、お菓子の意味がわかった」と言っていたとか。
乗り気でなかったはずの花ムコ殿は、「あのカードのおかげだよ、俺がカードを作れって言ったから…」と、なぜか自分の手柄話に仕立てて、私に威張る。

何言ってんだよお。花ムコ殿が言ったのは、小姑みたいな文句だけじゃん…。