会場入り・お支度

ドタバタと過ぎ去った準備期間。
そしていよいよ「晴れの日」、つまりお式当日を迎えた私です…
…が!

前記の通り、準備は前日まで大忙し、しかも私は一人暮らしの部屋から式場に向かわなければならないワケで。「お父さんお母さん、今までお世話になりました(;_;)」なんてシーン、あるはずもない。
もちろん、緊張で寝不足なんてこともぜーんぜんなく、久しぶりにゆっくり眠れて、頭スッキリ、いい気分。
空色のワンピースに着替えると、迎えに来てくれた花ムコ殿の車に乗り込み、「いつものデート」のノリで、式場へと向かいました。

外は晴れ。しかも、信じられないようなドピーカン。
東京の真夏とは思えないカラッとしたお天気で、気温はあるものの、それほど暑さを感じない。お庭を使うプログラムがあるし、外の暑さがずっと気になっていたけれど、これなら心配なさそう。

『ああ、これも神様のご加護、いえ、私の日ごろの行いだワ…』なんて思っていたところに、花ムコ殿が一言。「俺の日ごろの行いだなあ…」
バーカ言ってんじゃないやい!!!

そうこうしながら、やがて式場に到着。

眩しいお天気の中、式場は、青い空をバックにひときわ綺麗にみえる。 …なーんか、エントランスに入るときから、ちょっと現実離れした雰囲気…。
「今まで嫌なこともあったけど、ここにしてよかった!!!」この時は、心からそう思いましたよ、本当に。

さて、いそいそとお支度に向かうと、担当のメイクさんが私を待ち受けていた。
とっても楽しいメイクさんで、今日の仕上がりも楽しみな私は、「よろしくおねがいしま〜す」と、ご機嫌でご挨拶。
ところがメイクさんは、私をみるなり一言。
「ああ〜っ…新しいニキビ、発見しちゃったんですけど…」

ガーン…。
そう、二日ほど前、不摂生からか、しばらく出来ていなかったニキビが出来てしまったのよ…。 「すみませ〜ん(;_;)」
「でも、このくらいなら、隠せるから大丈夫!」というメイクさんを信じて、さっそくお支度にかかる。

まず最初に、タオル地のガウンのようなものを着て、ドレスから出る部分に水化粧し、その後、ヘアメイク。メイクさんの魔法にかかれば、出来たてのニキビも何のその。おおっ、まるで花嫁さんだわ…。
すでに届いていた花飾りのユーチャリスをさして、お化粧は完成!

だが!この時体はまだ、タオル地のガウンのままなんですよ…。ヘアメイクはバッチリ、でも体はクアハウス状態。
『…へ、ヘンだぞ、これ…』

この後過酷な試練が私を待ち受けていた。
ふと、へんてこなグレーのポンチョのようなものを手渡され、
「じゃあ、これを着て、今のうちにお手洗いに行ってきてくださいね」
「お手洗いって…」
「ここ、まだ花嫁さん用のお手洗いがなくて、お客さんと一緒なの…」

なにいっ?!…この格好で、このヘンテコなポンチョを着て、一般用のお手洗いに行くんかぁ?!
(注:今は確か、花嫁控え室は新しくなっているはずですから、多分大丈夫)

首から上はばっちり花嫁、首から下は雨合羽のようなへんてこポンチョ。このスタイルで、行きましたよ、お手洗いに。
メイク室の人に先導され、人目を忍んで?トイレに駆け込んだものの、出てきたら、しっかり他の披露宴の来賓たちに会いましたよぉ…

メイク室に戻って、今度はドレスに着替え。
この「ウエディングドレス」というものの、重いことといったら…もはや「着ぐるみ」といってもいいすぎではない。
いや、花嫁さんは、まさに一つのキャラクターのようなものですね。披露宴会場では、重たいドレスの着ぐるみを着て、「花嫁さん」というキャラクターを演じるわけだし。

そんなこんなでお支度を済ませて、「花嫁」に変身したワタクシ。ドレスを引き引き、親族控え室に向かうと、そこで、こちらも「花婿」キャラクターに変身した花ムコ殿と初対面。花ムコ殿は、『あっ!』という顔をしたきり言葉が出なかった。

…メイクさん、ありがとうっ!!!

そして、同じく私を見た父はといえば…。
「いや〜、化けるっていうのは、このことだな…

これ、本当に、娘を嫁に出す父の言葉なんでしょうか?