パリ旅行・4:空港からパリ市内へ

パリ旅行・2からの続き。

上空からの眺めにうっとりしている間に、大韓航空機はCDG(シャルル・ド・ゴール)空港へ到着。


この空港は、私が勝手に作り上げていたイメージとは、ちょっと違った。

私のイメージ…それはズバリ、中山美穂が似合う場所(笑)。
辻仁成はこの空港で偶然中山美穂を見かけ、スタッフと笑顔で話していた彼女の様子が忘れられずに、対談か何かで再開する機会を作ったのだとかなんとか。(そのときに言ったのが「やっと会えたね」という例のセリフ… っかーっ、キザ! 笑)

で、その話を聞いた時に勝手に想像したのが、もっとパリ市内に近い、洗練された雰囲気の空港だったわけ。
でも、実際のCDG空港はパリ市内から大分離れていて、かなり田舎な印象… 想像していたのが羽田だったのに実は成田だった、という感じかなあ。
(後で書きますが、空港自体はきれいなんですよ)

といっても、入国した時の空港のイメージは、あまり記憶にない。到着ロビーをあまりに早く通り過ぎてしまったからだ。

飛行機を降りてから入国手続きまでは、あっという間。入管でパスポートを見せて、メルシーとか言いつつそこを通過して、荷物をバゲージクレームからピックアップして、そのあとは荷物なんてノーチェック。(いや、どこかで見ているのかなあ?)香港もそうだけど、観光都市は人が多すぎて、いちいちチェックしていられないのかな??

ということで、ほとんど何の言葉も交わさずに手続きを終え、次なる目的地へ向かった。

次なる目的地というのは、空港内のインフォメーション・カウンター。ここで美術館巡りに至極便利な「ミュージアム・パス」を購入し、明日からの美術館巡りに備えるわけだけど、この時点で私は内心ドキドキ。というのも、「フランス人は英語で話しかけても会話をしてくれない」という話をあちこちで聞いていたから。
もちろん私はフランス語なんて全然わからないし、旦那も仕事で来れば現地のスタッフがいるわけだから、フランス語で一体一での会話はできないだろう。

うーん、まずはここが第一関門だ。
Nous voulons… とかなんとか、手帳にまとめてきた言葉を口の中で繰り返しつつカウンターに行くと、そこにいた金髪のお兄さんは、いきなり Hello. May I help you?的な簡単な英語で話しかけてきた。

なんだ、英語でいいんじゃん

心配していた私をよそに、旦那も英語でしゃべっている。曰く、観光客が来るところは英語で問題ないらしい。英語で話してもらえないのは、外国人があまり来ないような庶民的なお店等だとか。なんだ、緊張して損した!(笑)

こうして思いのほか簡単にミュージアム・パスを入手し、次に向かうのは空港~パリ市内のシャトルバス乗り場だ。

今回私たちは、旦那の希望でモンパルナス地区にホテルをとった。(本当はサンジェルマン・デ・プレがよかったけど、ホテル代が高い!)
で、偶然にもエール・フランスの空港バス2路線のうち一つがモンパルナス駅行き。つまり、空港からホテルのそばまで、バスでそのまま行けちゃうわけだ。重い荷物を持って地下鉄を乗り継ぐよりは、断然楽だよね、きっと。

ということで、モンパルナス駅行きのバス乗り場を探し、そこで往復チケットを買って、売り場のおじさんに言われた場所に向かった。

ところが。

そこには誰もいないし、わかりやすいような表示もない(一応バス停はあったけど)。私たちのほかに一人、パリジャンと思しき青年が、誰かと携帯電話で喋っているだけ。
しかも、待てど暮らせど、バスは一向にやってこない。

え… ここで本当にいいのかなあ…。

ようやくそれらしいバスが来たので、私たちは荷物を持ってバスに近づいた。するとそこへやってきたのが、バスの関係者らしい男性。ちょっとガラの悪いそのおじさんは「!”#$%&’()=~!」と面倒そうに私たちに声をかけ、追い払うようなジェスチャーをした。

げ… 初めて聞く生のフランス語が、このよくわからない状況か…(汗)
ええい、こっちはフランス語がわかんないんだよ!(笑)

でもまあ、どうやら「おいおい、このバスには乗れねえよ、荷物をどけな」というようなことを言っているのはわかった(適当だな)。おそらくこのバスは、パリ市内から空港に来たばかりで、これから空港のバス停を順次回って人をおろしていくのだろう。

こうして私たちは、また、人の少ないバス停にポツンと取り残された。

ああ、早くバスに乗りたいなあ…

あまりの退屈さに、ボーッと空を見上げた。
現地時間、午後7時ころだっただろうか。このころの日本の感覚だと夕方4時くらいの明るさ。パリは、サマータイムが導入されているだけでなく、緯度が高いせいで、夏の夜が短い。日没が夜9時だというから観光にはもってこいだ。
そのまだまだ明るい空の下、目の前のタクシープールでは、日本とは一味違うタクシー(日本のようなカラーリングが施されていない)がズラッと並び、タクシーの運ちゃんたちが何やらおしゃべりしている。

なんか変な感じ…。
日本時間では、もう夜中の2時だ。あたりまえだけど、この同じ時間、東京の人たちは皆寝ているんだろう。
私はなぜ、突然地球の反対側にきて、よくわからないフランス語を聞いているんだろうなあ…

昔はパリに来るといったら、そりゃあもう一大イベントだったろうに。今じゃあ10日前に突然決めて、費用もそんなに掛けずに来られるんだもんなあ。
というか、私のような観光客は、パリに失礼?(汗)

一人でそんなことを考えていたら、ふと旦那が「あっ、あのバスだ」と声を出した。
ああ、やっと来たのか…。

このとき、ただバスが来たというだけなのに、自分でも意外なほどホッとした。
ガイド付き、送迎付きのツアーだったら、こんなことはないんだろう。でも今回は全て自分たちでやらなければならない。
言葉がわからない、知らない街にいるという不安感を、私は久しぶりに思い出した。(実際は、旦那がいるんだから心配ないんだけどね)

そんな、ちょっと複雑な気分のままバスに乗り込むと、運転手のおじさんが私にニッコリと笑いかけてきた。そして私のチケットを受け取り、片道分だけチャージすると、英語だったのかフランス語だったのかも覚えていないけれど「ようこそパリへ」というような言葉をかけてくれた。そのやさしい笑顔に、ついさっき言葉がわからず困惑した分だけ余計にうれしくなってしまった。(よく考えるとニッコリ笑ってチケットを切るのは普通のことなのかもしれないけど!)

パリの人は他人に興味がないし、フランス語が話せないと冷たくあしらわれる、といろんな人から聞いた。でも実際には聞いていたほどでもなく、むしろ私はこの旅の間、いろんな人に優しくしてもらったように思う。

まあその話は、また追々していくということで。
とにかく私たちは、渋滞しているパリ市内を横断し、予定より20分遅れでモンパルナス駅に着いた。

写真は夕暮れのパリ市内。ホテルについてしばらく後、周囲を散策した時の様子。

★パリ旅行記目次

追記:
この後、中山美穂は離婚し、辻仁成のほうが「パリのシングルファザー」になってしまいましたね!(どうでもいい補足)