パリ旅行・7:ホテルの朝食

パリ2日目。時差ボケで、眠いのか眠くないのかよくわからない状態で起き、朝食はどうしようかと旦那と相談する。

今回ホテル代は朝食代込みになっているのだけれど、モンパルナスの人気カフェ2軒がホテルの目の前だ。

「普通、ホテルで朝食は食べないんじゃない?せっかくパリに来たんだし、カフェにいくでしょ…」と旦那は言う。でも、縁あって泊まったホテルだし、一度くらいはここのご飯も食べておきたい。

ということで、「初日くらいは」と朝食会場に向かう…
いや、会場というほどでもないんだけど。
というのもね、日の差さない、地下の狭いスペースなのよ。(きっとホテルで朝食を食べる人が少ないんだろうなあ。)

前記の狭い(しかし「狭い」が多いホテルだね)エレベーターで地下に降りると、一応カップやソーサー等がテーブルにセッティングされている。
でも、誰もいない…お客さんもいなければ、係の人もいないのよ。

えー、この状況は、どうしたらいいのかなあ?

あたりを見回し(しつこいけど、見まわすほどのスペースでもないんだけど!)ふとテーブルにあるメニューに気がついた。

そこには、アメリカンブレックファストにもコンチネンタルブレックファストにも、しっかり金額が書かれている。
ええっ?ホテル代って、朝食代込みだったんじゃ…

旦那と顔を見合わせたが、二人きりで首をかしげても、ここには誰もいないし、何も解決しない(笑)

とにかく誰かを呼びに行こうとフロントへ向かおうとすると、そこに突如現れたのが、洗濯物らしきものを大量に持った中年のおばさん。私たちの姿を見て、あれっと驚いたような様子だ。

英語で『宿泊代に朝食代が含まれているはずなんですが、いただいていいですか?』というようなことを質問すると、そのおばさんは

「|~=)(’&%$#”??」と困惑している。んんっ?どうやら英語が通じないのかな…(いえ、私の英語もヘタなんですが)
うーーん、やっぱり多少はフランス語ができないと、パリ旅行は難しいのかなあ…

おばさんは慌てたようにロビーへ続く階段を上り、フロントにいたらしい金髪のお姉さんを連れて戻ってきた。その女性はもちろん英語OK。宿泊費の件を確認し、ようやく安心して朝食をいただけることになった。ああ、英語が通じるってありがたい…(涙)

そこでほっとしたのは私たちだけでなく、例のおばさんも同じだったようで、今度はニコニコ顔で飲み物の注文を聞き、再びニコニコ顔で、カフェオレと、カゴいっぱいのパンをもって戻ってきた。

私たちの目の前に、山盛りのバゲットとクロワッサン。えっ、これ全部私たちの分なの?ってくらい。
驚いている私たちを見て、おばさんもうれしそう。軽く手を広げ「Bon appetit!(召し上がれ!)」と言って、またニコニコと笑顔で立ち去っていった。

あ~、なんか嬉しい…。

言葉は通じないけど、おばさんがもてなしてくれている感じが伝わってくる。
そして、目の前にたくさんのパン(笑) 普段はクロワッサンは食べない私も、このときは旦那が驚くほどたくさん食べた。

キツネ色に焼けた小さな、でもたくさんのクロワッサンたち。このパンを思い出すと、同時におばさんの笑顔も思いだす。

結局私たちは、翌日もホテルで朝食を取った。
パリのカフェが思いのほか高かったこともあるけれど、おばさんの笑顔が気持よかったのが最大の理由だった。そしておばさんは、前の日よりもさらにフレンドリーに、私たちの朝食を準備してくれた。

でも三日目の朝は、残念ながらおばさんではなく、若い黒人さんの女性が給仕についた。
この人はまあ、ニコリともしないしめんどくさそうだし、しかもなぜかクロワッサンがコゲコゲだった。(パンはホテルで焼いているのかなあ??お店で買っているなら、なぜ焦げたものが出てきたんだろう…)

パンが焦げていたせいもあるんだけど、でもそれ以上に、なんかイマイチな朝食だった。

食事のおいしさは、結局、半分以上はサービスで決まるんだよね、たとえホテルの無料の朝食であっても。

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