パリ旅行・2:上空から見たフランス

飛行機に乗る際、国内線では窓側の席、国際線では通路側をとるようにしている。理由は簡単。搭乗中に席を立つ必要があるかどうかの違いだ。


私は飛行機の窓から外を眺めるのが理屈抜きで好き。だからできることなら窓際がいい。
とはいっても国際線で窓側に座ると、トイレに行くたび、見ず知らずの隣の人にまで席を立ってもらうことになる。しかもその人が寝ていたりすると、悪いなあと思っちゃうのよね…。
長時間のフライトでそんなことを気にしていると膀胱炎になってしまうので、それなら通路側に、ということになるわけ。

もちろん今回も通路側をお願いしたのだけれど、行きの飛行機はとてもいい席を取ってもらうことができた。
成田~ソウル間は、ブロックの一番前の席で、席を立つのが楽なのはもちろん、足を伸ばして座ることができる。ソウル~パリ間は一番後ろの席で、窓際とその隣の2席だけが並んでいる。つまり、窓際でもあり通路側でもあり、さらに後ろに席がないので、後ろの人を気にせず好きなだけリクライニングできるというわけ。
チェックイン・カウンターのお姉さんが、体の大きい旦那(身長180cm)に気を使ってくれたのだと思うけれど、おかげで長時間のフライトを快適に過ごすことができた。

この席で唯一残念だったのは、途中、私たちのすぐ後ろにある非常口のスペースに年配の日本人男女が集まり、勝手に窓のシェードをあげて外を見ながらワイワイ騒いでいたこと。
(国際線は、時差ボケ解消のためなのか、フライトアテンダントが全ての窓のシェードをおろして、機内を夜のような状態に保っておく時間帯がある。この間、多くの人は睡眠をとる)

他の人が寝ているのに、うるさいし明るいし、他人の迷惑を考えろっつーの!
この連中がいつまでもやっているので、私にしては珍しく「休んでいる方もいるので、もう少し静かにしていただけませんか」と直接注意した。
(フライトアテンダントに注意してもらったほうが角が立たないと思うのだけど、待っていられなかった)
この飛行機は国際線なんだよ!このオッサンオバサンのせいで、他の国の人に「日本人は常識がない」なんて思われたらくやしいじゃないのよ!

すると、私が声をかけたオッサンは、「静かにしろってあの人に怒られた」と仲間に伝えている。
おい、一見常識のありそうなオッサン!あんた、小学生か!「怒られたから」静かにすんのか!「他人に迷惑だから」じゃないのかっ!

でも、窓の外が見たい気持ちはわかる。この飛行機はなぜか、ほとんどの時間シェードをおろしたままだった。おそらく強制的に暗くしないと眠れないからなのだろう。

飛行機がソウルを出発するのはお昼ころ。12時間の飛行時間を経てパリに到着すると、あら不思議、現地はまだ夕方の6時ころだ(この時期、パリは夜9時まで日が沈まない)。つまり飛行機が太陽を追いかけるように飛行するため、窓の外はずっと明るい状態になってしまうというわけ。

結局、私が窓の外をちゃんと見ることができたのは、もうじきシャルル・ドゴール空港に到着というころになってからだった。

窓を開けると、飛行機はすでに、地上の様子がはっきり見えるくらいの高度を飛行中。
その時眼下に見えたのは、黄色と緑のパッチワークのような情景だった。

上空から見る日本、たとえば北海道も、本州の田んぼも素敵だし、アメリカの広大な耕作地帯や蛇行する大河も壮観だった。けれど今回は、そういうのとは全く違う光景だ。

あの黄色は、何の畑なんだろう。
その中のところどころに、家々が丸く集まった集落が点在している。

私はずっと、ヨーロッパの絵画に描かれた風景は、色調も光の具合も、やや大げさに描いているのだと思っていた。
でも、あのドラマチックな光景は、実は見たままの様子だったのだということを、この時知った。

私が初めて見たフランスは、鮮烈な色合いの幾何学模様だった。
今回の旅を通して最も印象に残った光景は、実はこの時見た上空からの眺めだったかもしれない。

着陸がせまった機内では、カメラやビデオも含めた電子機器の使用はご法度ということで、せっかく持ってきたカメラを手に取るのを我慢した。

写真はグーグルマップの画像。私が見た光景とはだいぶ違うけれど、雰囲気はなんとなく感じてもらえるのではないかと思う。

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