出張帰りに松島へ・5:記憶の中の瑞巌寺

「出張帰りに松島へ・4:観瀾亭と松島博物館」からの続きです。
観瀾亭を後にして向かったのは瑞巌寺。松島きっての観光名所です。

下の写真は青葉城の伊達政宗像ですが、瑞巌寺といえば伊達政宗の菩提寺としてご存知の方も多いでしょう。

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しかし瑞巌寺自体は政宗以前にすでに長い歴史を持ち、創建は平安時代の828年と伝えられています。
って、そういわれてもなんだかよくわかりませんが(笑)、とにかく歴史の古い、東北を代表する名刹で(超適当な説明!)、岩手・平泉の中尊寺、毛越寺、山形の立石寺(山寺)と共に四寺廻廊という巡礼コースの一つになっています。平泉は言わずもがなですが、山寺はなかなかいいですよ~。

で、私が今年ここを訪れたのは、塩釜発のフェリーと同様、小学校の頃の修学旅行の記憶があったからです。

松島では、そこがどこかは覚えていなかったのですが、素晴らしい杉並木の下を皆でゾロゾロと歩いたことだけが印象に残っていました。それが瑞巌寺だと分かったのは、結婚後、旦那と松島を訪れた時でした。(でもその時は、瑞巌寺は参道から見ただけでした 笑)

今年の夏、その杉並木をもう一度確かめたくなり、一人瑞巌寺を訪れました。
松島駅(松島海岸出来ではなく、瑞巌寺から2kmほど)から暑い中歩いてやって来た時、この杉並木がなんと涼やかだったことか。

上の写真は本堂側から参道入り口を見た様子を携帯で撮ったものですが、どんな雰囲気かはわかっていただけるでしょう。写真の左側、杉並木の奥には無数の石像が並び、荘厳な雰囲気を醸し出しています。

で、この時には、並木や石像だけでなく瑞巌寺の本堂なども見学していこうと張り切っていたのです(ちなみに有料)。

ところが、いざ行ってみると。

えっ。何これ。
何だか工事中っぽい案内が。
なんと瑞巌寺は、2009年からの平成の大改修で、中の大部分が見学できなくなっていたのです!
なんだってーー!


見られるのは、上の図のピンク色のところだけですよ!「W」とあるのが本堂ですが、それさえ見られない!

その代わりに特別公開されていた庫裡(くり)も、こんな感じ↓

な、なんかなあ…。
後で気がついたのですが、工事中のエリアを示す看板の手前には、瑞巌寺で見られる色々なものが看板になって掲示されていました。

いやあ、看板で見てもねえ…(苦笑)

でもまあ、歴史ある寺院を保護するために、このような修復工事が重要なのでしょう。
このときはしょうがないとあきらめ、見学できるエリアをウロウロして帰途に就いたのです。

また、瑞巌寺に限らず有名な寺社の多くがそうですが、ここでも見どころは写真撮影禁止なんです。
撮った写真を営利目的に利用されるのを防ぐためなのだと思いますが、今は写真を撮影させた方が、ネットで目に人の触れる機会が多くなり、結果的に知名度もアップすると思うのですが、…まあ仕方ありませんね。

ということで、ここではあまり写真がありません(苦笑)
宝物殿も見応えがあって面白かったですが、そちらも写真撮影禁止でしたので、瑞巌寺のホームページなどを見てみてくださいね。

+ + +

さて、この冬再び、今度はカメラを持って、あの杉並木を撮ろうと瑞巌寺を訪れました。
でも、参道に入り、杉並木を見た私は、呆然として立ち尽くしてしまいました。
あの杉並木が、いやに見晴らしのいい、ポカンとした空間になっていたのです。


一体何が起こったのかわからず、とにかく本堂の方に向かったのですが、途中に看板が掲示されていました。あの津波による塩害で杉の木がダメージを受け、秋以降に300本もの杉が伐採されていたのです。

写真は本堂側から参道入り口側を見た様子。夏の写真とだいたい同じ構図です。
写真の右側の杉が伐採されているため、左側の杉並木も、妙に明るく陽光に照らし出されています。


その奥には、あの石像群が。
でも、そちら側がどうなっているのかはわかりません。
駆け寄るようにそちらに向かうと、こちらも工事中の看板が。立ち入り禁止になっているのです。


石像群側の並木の状況や、工事中の理由はわかりません。
でもとにかく、この杉並木の状況に動揺し、一人泣きたくなってしまいました。


妙に明るくなったスギ林の下には、枯れ落ちた杉の葉とイチョウの葉が積まれていました。
その鮮やかな色が、やけに目につきました。

このときは、自分の記憶の中の杉並木が失われたことにショックを受け、ただただ呆然としてしまいましたが、今思えば、この杉並木が津波の威力を軽減させたために、震災発生時に瑞巌寺に避難した人たちが助かったのかもしれません。

悲しむのではなく、切り倒された杉の木たちに、感謝しなければならなかったのでしょうね。

そんなわけで、ちょっと切ない瑞巌寺再訪でした…。

まだまだ続きます!