沖縄・4:首里城は実は新しいんです(後編)

前編からの続きです。

修復中の正殿(笑)をひとしきり眺めた後、正殿の中を見学に行ってみました。

まず見るのは一階の下庫理(しちゃぐい)。冒頭の写真がそうです。
ここは国王が政治を執り行った場所らしいのですが…装飾の施された柱はさておき、国王の執務室というにはなんだか地味な感じ…?

で、下の写真、二階の大庫理(うふぐい)は、王家の行事をつかさどる場所だったとか。

こちらは一階に比べると、玉座もあって華やかですが、いずれにしても、豪華絢爛という感じでもありません。
首里城の真っ赤っかな朱塗りの印象から、中国っぽいど派手さを想像していたのですが、建物の規模も、中の様子も、そうギラギラしたものでもなく、日本風な印象さえあります。どうやら首里城は中国と日本の建築様式の両方を取り入れ、それを琉球風にまとめているようです。

そして驚いたのが、写真にはありませんが南殿の様子です。全くもって和風の建築なのです。それを見た旦那が「琉球王国って、日本と同じような様式だったのかなあ」と首をひねるのですが、もちろんそうではありません。南殿はもともと、薩摩藩からの使者の接待用として建てられたものだったのです。

中国風と和風と琉球風が入り混じった、琉球王国のグスク。三つの国の関係が反映されていて、なんとも興味深い…といいますか、何やら複雑な気持ちになります。

やはりせっかくここを訪れるなら、多少歴史を頭に入れてから来たほうがいいのかも。漫然と見ていてはわからないこと、気がつかないことがたくさんあったんだろうなあ。

下の写真は、展示室にあった首里城の模型です。御庭(うなー)での儀式?の様子を再現したもののようですが、こうして見ると、規模は小さいものの、中国っぽい雰囲気ですよね。

首里城の中の資料館を見た後、琉球舞踊が見られるということで、興味のなさそうな旦那を無理やり引っ張って、無料エリアにある下之御庭へ。野外にテントでしつらえられた客席では、年配の方を中心に、大勢の観光客が開演を待っていました。

琉球舞踊というものを全く知らない私は、明るく朗らかな踊りを勝手に想像していたのですが(沖縄の人たちが手をヒラヒラさせて踊る、あのイメージ)、始まった舞踊は、日本舞踊にも似て動きが少なく、とてもゆっくりしています。それを見ていた旦那が、居眠りを始めてしまい…

踊り手さんの目の前で船を漕ぐのもはばかられ、旦那とともに、演目の間にそそくさと席を後にしました。ゴメンナサイ…

披露された踊りの中には、おなじみの四つ竹をつかったものや、薩摩藩から沖縄に戻る人たちの心情を表したものもあり、ちゃんとみれば楽しめるものなのだろうと思います。が、いかんせん私たちは、沖縄について知らなすぎました…。

駐車場に戻る道すがら、瑞泉門のそばの龍樋を見てみました。
この龍の形をした彫刻は、1523年に中国からもたらされたもので、現在首里城にある中で唯一の「当時のままの彫刻」なのだそうですよ。

ということで、首里城の中では大変貴重なものなのですが、知らずに見ると、単なる龍の形の吐水口にしか見えないなあ…。何かこう、もう少し主張(?)してもいいのではないかと。

一方で、こんな光景も。
下の写真は、首里城とともに世界遺産にも登録されている園比屋武御嶽石門(そのひゃんうたきいしもん)。
この門は、奥にある聖地、園比屋武御嶽を守る役目を持つ礼拝所だそうです。が…

うん、ここも修復中だったのか、私たちが見たときには、おじさんたちが上に乗っていたんです。写真に写っていない向かって左側にもおじさんがいてね(笑)。

うーん。オフシーズンだからなのでしょうけれど、どれが重要でどれがそうでないのか、注意してみないとよくわからない…

やはりこういう場所を見に来るときは、前もって少し勉強しておいたほうがよさそうですよ!私のように、飛行機の中でるるぶを流し読みするだけじゃなくて!(笑)

2021年追記
2019年の火災で首里城の正殿が焼失してしまったことに、とても衝撃を受けました。再築には長い時間がかかるかと思いますが、またあの場所によみがえることを願っています。

◆沖縄旅行記2010:目次◆

“沖縄・4:首里城は実は新しいんです(後編)” への3件の返信

  1. それにしても、主さんを読書家だとばかり思い込んでいた私は頭が固いですね。
    紹介していただいた本、読んでみます。
    ありがとうございました。

  2. ★大庭さん、

    初めまして、コメントをありがとうございます(^^)
    気ままに書き連ねた文ですが、
    楽しんでいただけているのであれば私も嬉しいです。
    ただ残念ながら、お勧めの本をあげられるほど
    熱心な読書家でもないのです…
    お役に立てずにスミマセン…。

    それでもあえてあげるとしたら、ここ1年で一番気に入ったのは、
    このブログ内でもご紹介している、星野博美さんの
    「転がる香港に苔は生えない」でしょうか。
    星野さんの他のノンフィクションやエッセイもいいですが、
    特にあの本の乾いた文体には惹かれます。
    でも私の文章は、星野さんとは似ても似つきませんよ!(笑)

  3. はじめまして、こんにちは。
    少し前から吉祥寺のランチブログとこちらの旅ブログを読ませていただいております。
    主さんの書く文章からはいつも楽しさがいっぱい伝わってきて、見ず知らずの私ですが、ブログの更新を楽しみにしています。
    主さんは言葉遣いも、文章もきれいで憧れます。
    突然質問攻めにしてしまって申し訳ありませんが、主さんはよく本を読まれますか?
    もし読まれるようでしたら好きな本を紹介していただけませんか?
    旅ブログなのに旅と関係の無いコメントでごめんなさい。

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