沖縄・14:美ら海水族館で思うこと(後編)

前編からの続きです。

黒潮の海の大水槽をひとしきり見た後は、一旦外へ出ました。外にはイルカのショーが開催される「オキちゃん劇場」や、人魚のモデルにもなった海洋哺乳類マナティーの水槽がある「マナティー館」があるのです。

外へ出て、オキちャん劇場の方へ向かうと、ちょうどイルカのショーが始まったところ。慌てて駆け込み、ショーを鑑賞することにしました。

さて、始まってしばらくしてから、何か違和感…といいますか、「あれ?」と首をかしげることがありました。

このショーには、おなじみのバンドウイルカと、バンドウイルカより一回り小さいカマイルカ、そしてイルカというよりクジラっぽい風体のオキゴンドウが登場します。
イルカのショーといえば、一般的にはバンドウイルカとカマイルカが主役のような気がするのですが…
美ら海でがんばっているのは、なぜかオキゴンドウなのです。

イルカより大きく、ニョロッと長い体で、がんばってジャンプしています。でもちょっと体が重そうで、そこがまた、けなげな感じなんですよねえ…。

もちろんイルカたちもジャンプします。しますが…

こう、ピョッとジャンプして、ハイ終わり、って感じ…。
んんん?イルカ君たち、ジャンプは君たちの見せ場じゃないの?

とにかくがんばっているのはオキゴンドウ。いろいろな技を見せては、愛想を振りまいています。

どーですか、この決めポーズと、得意げな表情(笑)
そして、がんばってジャンプ、ジャンプ、ジャンプ!

体が大きいい分、どうしてもイルカほど軽やかに宙を舞えない。
でもがんばってる!
そのがんばりを見ていると、おばさん、もう涙が出ちゃいそう(笑)

一方のイルカはといえば…

胸ビレを手に見立て、手を振るような定番のパフォーマンスをしていますが、
…ってちょっと、イルカとあろうものが、そんな小技だけでいいわけ?(笑)
お姉さんが拍手を促しますが、え~、これだけじゃ拍手できな~い!そういう小ネタは、もっと他のことをいろいろやってからにして~!

今回のパフォーマンスの印象を写真で表わすと、こんな感じ。↓

がんばり屋のオキゴンドウと、さっぱり働かない不良イルカたち、って印象でした(笑)

でも実際、イルカが大したことをしなかったんですよね~。どういうことなんだろうか…。

これがイルカたちのトラブルではなく、普段どおりの様子なのだとしたら、という前提ですが、正直なところ、この手のイルカショーとしてのレベルは…な感じでした。少なくとも日本一の水族館のショーとは思えません。
さらにもうひとつ「?」なのが、スタッフの皆さんが、この状況を何とも思っていなさそうなところなのです。

ここで、黒潮の海で感じた「腑に落ちないもの」の正体がわかりました。
この水族館全体に「現状で満足してしまっている雰囲気」が感じられたのです。

美ら海は今現在、日本一の入場者数を誇る水族館です。でも水槽の規模以外に、水族館としてのレベルが日本一かといえば、私はそうは感じませんでした。大水槽を見た後、旦那が「大きいけど、それだけだなあ…」とつぶやいたのですが、確かにそうなのです。
そしてイルカのショーに至っては…

もしこの水族館を「本当の日本一」にするつもりがあるのなら、スタッフの皆さんは、他の施設をいろいろ視察して、さらなるレベルアップを図る余地があるのではないかと。
もちろん「現状で観客が満足しているのならそれでいい」という考え方もあるかと思いますが、観光と米軍基地関連の収入が大部分を占める沖縄で、本気で基地の移転を望むなら、観光産業にもっともっと注力する必要があるはず。

って、東京にいる私があれこれ余計な事を述べるのもおかしな話なのですが、なんかこう、「沖縄の本気」みたいなものが感じられなかったんですよね。

そして、残念だったのがマナティー館です。

マナティー館は美ら海水族館の外にあり、厳密には別の施設のようですが、美ら海のHPにも出ていますし、海洋公園の施設ということで、関連施設として考えます。

マナティー館、なんだかすごくさびしい雰囲気だったんです。
ただ大きな水槽にマナティーが入れられているだけで、水槽というより檻のような印象です。施設が古いためなのでしょうけれど、きらびやかな美ら海の本館との差がありすぎで、単に放置されているようにも見えます。
マナティーが見られる施設は全国的にも少なく、貴重なはずなのですが…

実は私、マナティーが好きで、マナティー館をとても楽しみにしていたんです。それだけに、この状況は非常に悲しく、残念でした。

人気の水族館に対して、なにやら厳しい感想を並べ立ててしまいましたが、私は、飛べるのに「これでいいや」と手を抜くイルカより、がんばるオキゴンドウが好きなタイプ(単なる比喩です)なのです。中にはこう感じる人もいるということで、どうかご勘弁を。

あ、いずれにしても、見たことのない方は、一度は見る価値があると思いますよ!

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