スピードボート

ヤットコサで辿りついたマーレ空港は、あいにくの雨。
実はモルディブは、12月から3月までが乾季で、4月から10月は雨季なんだよね…。ただ、雨季といっても日に1、2度スコールがあるくらいで、1日中雨に降られる事はめったにないみたい。まあ、海の透明度などは乾季に劣るけど、私達二人はダイバーでもなし。それほど気にもしていなかったけど…
とはいえ、いきなり雨に降られると、ちょっと不安。
(ちなみに、雨季はマンタなどの大物に会える確率が高いそうです)

大勢の観光客が小さな空港にドシャッと降りたつと、これまた大勢の係員が寄ってきて、お客を各リゾートへ向かう船へと案内する。…そう。この空港でゴールじゃないんです。ここから先も、また移動…(汗)

モルディブは、いくつもの環礁と、その上に位置する1,000を超す島々で成り立つ共和国。一周徒歩数分〜十数分という小さな島が丸ごと一つのリゾートとなって、青い海の上に点々と散らばっている。(現地の人たちが住む島とリゾート用の島は分けられていて、この二つが共存する事はないんだそうな…)
で!
リゾートがどこの環礁にあるかによって、マーレからの移動時間、移動手段も違ってくるわけ。
アリ環礁やバー環礁など、空港から比較的遠くに位置する新しいリゾートは、マーレで一泊し、翌日水上飛行機などで移動。でも、めんどくさがりの私たちが希望したのは、その晩のうちにリゾート入りできる、南マーレか北マーレ環礁のリゾート。この二つの環礁は空港から比較的近く、早い時期から開発が進んでいるので、老舗とも呼べるリゾートが集中している。移動手段は、ドーニと呼ばれる小型の船か、「スピードボート」。

ところで、スピードボートって、何?

ガイドブックには、こういう「知ってて当然」用語がとても多い。例えば、当然のように出てくる「エクスカーション(アクティビティ)」とか…(これは島ごとのアトラクションとでもいうのかな。オプショナルのツアーやマリンスポーツの設備の事)。私なんて最初は「ハウスリーフ」が何の事かもわからなかったもんねぇ(笑)。素人にもわかるように、ちゃんと説明してくれぃ!
結局スピードボートもどんなものかよくわからなかった。名前からして「速い」んだろうというのはわかったけど(笑)

さて、目指すオルベリは「スピードボートで50分」
スピードボートが何かわからないんだもの、この距離感はイマイチわからない。でもま、行ってみればいいでしょ、ってなわけで、係員に案内されてボートへやってきたわけですが…

「なーんだ…」
ようするに、クルーザーのようなもの…ですね。
ただ、船体の壁部分が所々開いていて、ビニールの幌のようなものでカバーされているわけ。お天気のいいときはそこを開くってことなんだろうなあ…

私たちが座ったのはその壁と幌の境目、船体の真中辺り。向かいの席には、進行方向に背を向けて、女の子二人が着席。 ようやく雨が上がりかけた頃、満席のお客を乗せて、スピードボートはいざ出発!

ところが!

「(ぎ、ぎえ〜〜〜っ!!!)」

名前にたがわず、ものすごいスピードで爆走するんですね〜、このボート! 海も空も見分けがつかない真っ暗闇の中を、バンバンバウンドしながら突っ走っていく…
景色でも見えていれば少しは落ち着こうものだけど、視界に入るのは闇ばかり。時折雲の合間からちらちら星が見えるくらいで、水蒸気の多い雨上がりの空ではそれさえもぼんやりかすんでしまう。
…絶叫マシンだよ、こりゃ…

それでもしばらくするうちに爆走状態にも慣れ、再び睡魔に襲われ始めた頃…
ぎゃあーっ!!
と、向かいの女の子達。なんと、再び降り始めた雨が幌にたまったのか、幌の隙間からあふれた水で、壁側の女の子がびしょびしょに!
なんなんじゃ、この状況は…怖い、眠い、冷たい…まさに三重苦(?)

その後彼女は、ハネムーンらしき仲むつまじい男女(念のため断っておきますが私たちではない)の隣に席を空けてもらい、安全な場所に移動。安全とはいっても、女二人で来ている身で、これもまたつらかろう…
帰りは絶対にあの席には座るまい(笑)

こうして永遠とも思える50分を経て、スピードボートはようやくオルベリの桟橋へ到着。現地時間午前1時。日本時間午前5時の事でした。

…眠いよぉーっ!