体験ダイビング

モルディブは、言わずもがなのダイバーズ天国。「ノンダイバーなのに、モルディブに来たの?」なんていわれちゃうこともあるくらい、潜ることが最高にして最大のリゾートなわけで…(なーんていっても、実はワタクシ、そのあたりのことはよくわかりませんが!)

「せっかく来たんだから、潜ってみようよ!」と、元水泳部の花ムコ殿は言う。 ふーんだ、どーせアナタはスポーツ万能で、何の心配も要らないでしょうよ。こちとらスーパー運動オンチだっていうのに…。でもまあ、シュノーケリングも結構楽しめるし、ただ潜るだけなら大丈夫かな?

とまあそんなやり取りの後、シュノーケリングでちょっとだけ海に免疫のついた(?)私は、無謀にも体験ダイビング参加を決意。

しかしこれが、私にとって大変につらい思い出になろうとは…

ダイビング自体は、潜ってしまえばそんなに大変なことでもなさそう…というのが、体験後の私の印象。ところが、そういうレベルではない問題が私を待ち受けていたのでした。

それは、「耳抜き」。

高い山や飛行機で、上空に行くと耳が「ポコン」と抜ける感じがするでしょ?あれは、気圧の変化によっておこる現象。耳の中より外のほうが気圧が低くなったために、耳がそれを調整しようと「抜ける」わけ。逆に飛行機が降下する時も、耳が圧迫される感じがするよね。あれは、気圧が高い外の空気が鼓膜を押し付けているわけ。こっちの場合、耳の中のほうが気圧が低いわけだから、なかなか「抜けない」。
海の中では、後者のような現状が起こる。しかも水圧は、少し潜っただけで半端じゃないから、抜けないままでは耳がものすごく痛んで、悪くすると鼓膜が破れてしまう。そこで、もぐりながら「耳抜き」をして、鼓膜の破損を防ぐわけです。あ〜、長たらしい説明だ…

方法は簡単。鼻をつまんで、息を鼻先のほうへ強く出すだけ。鼻から出られない空気が鼓膜を押して、耳が「ポコン」と抜けるというわけ(…実際に空気が耳から抜けるわけじゃないよねぇ?そういう感触がするんだけど)。

しかしこの耳抜きが、慣れないとなかなか出来ないんですよねぇ。 かくいう私も、要領がつかめずなかなか出来ない。何度も何度も練習し、やっとのこと、その感覚をつかんだわけです。

そして、いざ体験ダイブを敢行!
関西弁でナイスバディーのインストラクターさん(女性)に事前指導を受け、重たいボンベによろめきながらもなんとか海中へ。そこから、二人まとめてインストラクターさんに補助してもらいながら、そろりそろりと沈んでいくわけですが…

い、痛いっ!耳がぬけないぃ〜っ!!!

地上や浅いところでは難なく抜けたのに、潜ったら、左耳だけどうしても抜けない! 教わったばかりの「耳が抜けない(涙)」サインを早速使うはめになりました(そうそう、海の中では声をかけられないんですよ…この手のサインはきちんと覚えましょうね)。

とりあえず一度海面に顔を出し、いろいろ相談したのですが、痛くない範囲で潜ってみるということに。
こうして再び潜り始めたものの、やはり耳は抜けず、痛みは我慢の限界…でも、私が潜れないということは、一緒にいる旦那も潜れないということ。それはあまりに申し訳なさすぎるし… 私は耳の痛みをつい我慢してしまい、激痛に耐えながらの体験ダイブとなってしまったのでした(その間も、何度も何度も耳抜きを試みたんだけど、結局だめだったんだよねぇ…)。

そんなわけで、痛みに気が遠くなりそうな時間をすごし、気がつくと、その痛みさえわからない状態に(汗 抜けたわけじゃないみたいなんだけど)。

しかし、痛みが麻痺すると、青く静かな海の中は、本当に神秘的で…
シュノーケリングとはまた違った、ゆったりとした海中散歩。自分の吐く息が泡になり、明るく光る海面にポツポツと続いていく様を、なんともいえない気持ちで見上げたりしたのでした。 ああ、耳さえ抜ければ、どんなに素敵な世界が広がったことか…

そして。

ほんの入り口だけの海底散歩は、あっという間にお開きの時間。 私達は再びインストラクターさんに引っ張られ、海面へ浮上したのですが…
痛みと苦しさで海面に出るやマスクを取った私。その顔を見て、花ムコ殿が一言。

「わー、かっこわりぃ…」

何とかして耳抜きしようと繰り返し気張っていた私の鼻から、なんと、鼻血が出ていたのです!!!
だというのに、花ムコ殿は、鼻血を出した私の顔を、のん気に写真に撮っている。お姉さんも「時々ありますよ〜そういうコト(ハハハ)」なんて感じ…。

ええい、このバカ男、こういう時って、まず心配するものなんじゃないのっ?! しかし、悔しさと痛みで、もはや喧嘩する元気もない…。あ〜あ。花ムコ殿に悪いと思って無理したのに、人の気も知らずに…(~~;)

後日談ですが、帰国後念のため耳鼻科へと足を運びました。そして診察の結果は…

「あなた、以前右耳の鼓膜が破れてますねぇ」

し、知らんよぉ、そんなの(汗) しかも、痛かったのはなんだけど???

ともあれ、「何はさておき耳抜きは最重要!」との教訓を得た、痛〜い体験ダイビングだったのでした。皆さんも、事前の練習はしっかりね!

※ダイビングの話だっていうのに、肝心のお魚が全然でてこなかった…