さて、ガイドさんと車をチャーターしてウブドやその周辺を観光しましたが、当初の希望の内容をかなり減らしたため、今度は逆に予定のチャーター時間が大幅に余ってしまいました。
(前にも書きましたが、観光などの計画は日本出発前にガイドさん側と相談しておいた方がよいかと思います。で、どうしても行きたいところは当日追加料金を払っても計画に入れておくべきかと。私たちみたいに中途半端に時間が余るのは、本当にもったいないです)
今からでは、計画から外したところに改めて行くほどの時間はない。さてどうしようかということになり、ガイドさんに「どこか帰る途中で面白いところはありませんか」と聞くと、バリの工芸関係のお店を勧められました。
その一つが、銀細工で有名なチュルク村です。
ということで、そのまま帰り道の途中にあたるチュルク村へ立ち寄ることに。といっても、村のあちこちを見て回るというわけではなく、スカスカ・バリお勧めのお店はもう決まっているようで、まっすぐに、とある小さな工房へ向かいました。おそらくはその工房からマージンをとっているとか、色々と大人の事情があるんだろうなあ…。
そんな感じで「乗せられた感」はありつつも、もともとガムランボールには興味があった私は、気に入ったものがあれば買おうという心づもりでした。
工房の入り口では、女性スタッフが銀の粒を一つ一つボールに貼りつける作業をしていました。当たり前だけど手作業なんですね…
でも「細かくてすごーい!」という感じはあまりなく。なんかこう、やる気もあまりなさそうな感じだし(笑)
おそらくは、おしゃべりしているところに観光客が来て、ちょっと作業を見せて、彼らが去ったら再びのんびりおしゃべりを再開して、なんて感じなんだろうなあ。
で、建物の中に入ると、大小様々のガムランボールがズラリとショーケースに並んでいます。でもきらびやかな感じはなく、非常に簡素。ただし売り子さんは大勢いて、その中の一部の人は、あれやこれやと、日本語で話しかけてきます。
うん、これはもう完全に、日本人観光客相手の土産物屋だな(笑)
まあいいけど。
彼女たち曰く、バリで売られている銀細工は皆、ここチュルク村で作られているので、他で買うより絶対に安い、お得だ、と。
確かにサヌールで見たものより値段は安そうです。(ただしそのお店には、サヌールで見たようなデザイン的にしゃれたものはなかったのですが…)
せっかくだから、記念に何か買っていきたいなあ、と店内をうろうろすることしばし。
目にとまったのは、ピアスになっている小さめのものと、やや大き目の、ペンダントにできそうなガムランボールでした。
ピアスは、普通のシルバーの他にアンティーク風に黒く加工されているものがあります。お店の女性曰く、アンティーク風のシルバーは新製品とのこと。シブい感じが気に入ったので、アンティーク風のものを買い求めました。(冒頭の写真のピアスがそうです)
そしてもう一つ、ペンダントになりそうな少し大きめのガムランボール。こちらは白くきれいなシルバーです。
ガムランボールは大きさによって響きが異なるのですが、この大きさが私にとってはとても心地よく感じられました。ピアスはあまり音がしないので、ぜひこちらも買っておきたい。
ただし問題が一つ。
シルバーは、どうしても黒ずんできますよね。細かい細工のガムランボールが黒ずんだ時、それをきれいに落とせるのかどうか。
すると、日本語が上手な若い女性店員さんが自信満々でこう言いました。
「チュルク村の銀細工は、純度が高いので錆びません。他の純度が低い銀は錆びますが、これは錆びないから大丈夫です」
おい。
う そ つ け (笑)
純度が高いというけれど、このガムランボールは普通のスターリングシルバー(純度92.5%)のようです。それに純度が高ければ余計、ロジウムなどでメッキをしていなければ黒ずんでくるはず。ましてペンダントにして首から下げたりしていたら変色するのはあっという間でしょう。
彼女は勘違いしているか、あるいは知った上で嘘をついているかどちらかです。(シルバーの黒ずみは酸化ではなく硫化なので「錆びではない」といえばそうなのですが、黒ずみについて聞いたので、そこまで考えて言ってるわけじゃないでしょう)
ということで、私は彼女の「錆びない」発言は端から信じていませんでしたが、黒ずんだらそれはそれか、と思い直し、そちらも購入。バリに来てからほとんどお金を使っていないので、この時が初めての「買物らしい買い物」になりました。
で、その大きなガムランボールがどうなったかと言えば。
写真の通り、あっという間に黒ずみました。放っておくとこんな感じ(笑)
時間があるときに磨いていますが、やはり細工の細かいところまではきれいにはいきませんね。でもそれも、しばらく経てば味になるかなあ、なんて感じで、気にせず使っています。歩くときにコロンコロンと控えめに響く音が心地よいですよ。
ただ、彼女のようなセールストークを本気で信じて買った人は、この黒ずみにはガッカリするかもしれませんね。買うときにはどうぞお気をつけて。
それにしても、バリニーズはニコニコと穏やかで愛想が良いので、つい「嘘はつかなそう」と思ってしまいますが、そんなことはありません。「嘘をつくのはいけないこと」という日本の常識は、海外ではあまり通用しないと思った方がいいのかも。
かくいう私も、この後、思わぬ場所で、ついに「ニセモノ」をつかまされてしまったのです!
その話は、また後ほど。