香港・14:星野博美さんを追って・深水埗3

前回の続きです。(↑写真は鴨寮街の露店の店先。懐中電灯が暖簾みたい)

お手洗いを済ませ、マックで一休みしてから、いよいよ星野博美さんが住んだ部屋を探しに鴨寮街へ。

著書に書いてあった番地をメモし、Google Mapで大体の場所も調べて手帳に貼り付け、準備万端。
でも、いざその場所に来ると、なんだかごちゃごちゃして分かりにくい… このあたりは何番地くらいだろう?と、あちこちの建物を覗きこみながら歩いていきます。

で、その建物の一つ一つがこんな感じ↑なんです。(ここは星野さんちではありません)
な、なんだかスゴイというかコワイというか、工事中?というか(笑)。
唐楼の入り口に、そこにある部屋分のポストと分電盤?が並んでいるんですね。それがむき出しで、やけに生々しい。まるで建物が
「は?見てくれが悪い?そんなもん関係ねぇし」
とでも言っているようで、正対するのがはばかられてしまいます。

うーん…。星野さんもこういうところに住んでいたのかなあ…。

いいえ。

もっとすごい感じでした。

ここ…?

間違いありません。エッセイの中で書いていた郵便受けの特徴も、そのままでした。

…星野さん、タフすぎる。こういうところに日本人女性がたった一人で住めるなんて…。
いや、星野さん自身もあちこちの部屋を見ながら
こういうところで長期に住む覚悟は本当にできているのか
と自問自答したくらいですから、当たり前のように住んだわけではないでしょうけれど。

星野さんの唐楼(の入り口 笑)に立ち、念願がかなった喜びと、想像以上の場所への驚きとで、思わず困惑してしまいました。
そんな私の様子を見て、「上には行かないの?」と旦那。上とはもちろん、星野さんの部屋の前まで、ということなのですが。

…いや、さすがに、それは…。

この薄暗い唐楼が怖かった、ということではありません(それもあるけど 笑)。かつて星野さんが住んでいた部屋だけど、今は他の誰かが(多分)住んでいるわけで、さすがに部外者、しかも外国人が、ドアの前まで行くのは…

そんなことを思っているそばから、階段を下りてくる足音が。(あわわ…)
下りてきたのは中国人風の若い男性でしたが、ポストの前でなにやら話している外国人(私達)を、いぶかしそうに見ながら通り過ぎていきます。

…うん、やっぱりやめておこう。
本当は見たい気もするけど、赤の他人が家の前にやってきたりしたら、警戒心の強い香港の人たちは不安に感じるだろうし。

えー、いいの?せっかく来たのに、という旦那の声を振り払い、唐楼の外へ。

このたくさんの窓の中の一つが、星野さんがいた部屋の窓(のはず。どれかはヒミツ)。
当時真鍮だったという窓枠は、アルミサッシに変わっています。
窓から落として、露店の電線に絡まってしまったというTシャツはもう見当たりませんし、露店から延々と流れる「ホテル・カリフォルニア」の曲も、今はもう響いていませんでした。

星野さんは、最後にいつ、この部屋を眺めたんだろう。

一度住んだことのある場所に強い愛着を持ち、「かつて自分が住んだ場所を時々訪れる」という星野さん。昔自分が飛行機を見上げた窓を、建物の外、鴨寮街から眺める今の星野さんを想像し、なにやらちょっと切ない気がした、「転がる~」の舞台深水埗巡りでした。

★香港2010年旅行記 目次

“香港・14:星野博美さんを追って・深水埗3” への2件の返信

  1. ★中国大好き男さん、

    はは…唐楼の前まで行くのはちょっとやりすぎかな、とも思ったのですが、
    他の方のブログで小さな写真を見たりもしたので、
    これは自分も見ておきたい、と行ってしまいました…。

    蛇のスープ、おいしかったですか?
    私は勇気がなくて深水埗のお店には入れませんでしたが、(中環の蛇料理のお店には入りました)
    今年(2011年)再び深水埗に行ったときに、店先で写真だけ撮りました。
    カメラを向けたら、中国人っぽい観光客のおばさんが
    ちょっとすましてポーズをとってくれましたよ(笑)

  2. すごい!星野博美さんのアパートの前まで行ったのですね。私も、去年、深水ホの探検をして、星野博美さんを想っていましたけど・・・蛇のスープは食べました。

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