香港・23:蓮香楼・愛すべきオヤジの園2(飲茶)


オヤジの園「蓮香楼」の続きです。

今回もそこそこ混雑していましたが、運よくちょうど空いた席を確保し、すんなり座ることができました。

この日も相変わらずのオヤジ天国で、私達が座った小さめの円卓にも4名のおじさんたち。それぞれ新聞を読んだり、ボーッとお茶を飲んでいたり。中には携帯でメールを打っている(らしい)おじさんもいました。時代を感じるなあ。

ただ、初めて来たころに比べて女性の割合も観光客の割合も多くなっているようで、こぎれいな姿の若い女性もチラホラと見られました。

さて、点心の前にお茶をもらいます。

席に着くと給仕のおじさんがお茶を用意してくれますが、観光客と見られるとジャスミンンティーを出されてしまいます。
でも私達は、飲茶にはプアール茶(普耶茶)と決めているので、「ポーレイツァ」(プアール茶)とリクエスト。するとおじさん給仕は、プアール茶の入ったポットとカップを持ってきて、ポットにじゃぶじゃぶとお湯を注いでくれます。食器を使う前に、別に用意されたボウルにお湯(またはお茶)を入れ、自分でカップやお箸をすすいで(※)準備完了!(※テーブルに出しっぱなしにされた食器の埃をとるための習慣です。今はやらないことも多いようですが、昔ながらのお店では儀式的に残っています)

ただ、一つ気になっていることが。
実はお茶を飲むのに使うポットとカップは、観光客向けらしいんですよね。

地元の人たちに出されるのは、大きな湯のみにふたが付いた器。ふたを少しずらして茶葉を濾すのです。
私達は見るからに観光客なのでしょうけれど、広東語で話せるようになれば、ポットではなくてふた付きの茶器で出してもらえる日が来るんでしょうか??それとも地元の常連さんでなければポットのままなのかなあ?

お茶の準備がすんだら、いよいよ点心をもらいます。
このときは点心のワゴンがあまり回っていなかったので、しばらく待ち、厨房から出てきたところでダッシュ(笑)


まずは定番の海老餃子をもらいました。ああ、おいし~い!
点心の定番で、日本人だとわかるとこれを勧められてしまうので、いつもは逆になんとなく避けてしまいます。でも食べるとやっぱりおいしいんですよね(笑)

もう一つは、旦那がもらってきたナゾのしゅうまい。中身はお魚のすり身でした。イワシのつみれのような味がして、通好みかな。


ここの点心は、こぎれいな広東料理のレストランでは見ないような変わったものも多く、面白い半面、食べてビックリということもあります(笑)
でも全体的に、何を食べてもおいしいですし、とにかく安い
いつもついつい調子に乗って食べすぎてしまうので、今回は飲茶の基本にのっとり、お茶一種と点心二種で。…いや、二人なので、点心は四つ(笑)と決めて、あと二種類。

三つ目は、冒頭の写真の馬拉糕(マーラーカオ)。蒸しパンのような甘い点心です。
蓮香楼の名物の一つですが、見た目がそれほどそそられないので、これまで食べたことがありませんでした。


が、食べてみたら、これがおいしい
ホワホワで、でも弾力のある食感と、ほのかな甘さ。日本の蒸しパンともシフォンケーキとも違う優しい味わいです。
うわー、これはおいしい…。

このとき、私がよほどおいしそうに食べていたのか、向かいのおじさんがニコニコとこちらを見ています。目があったので思わず笑ったら、おじさんが嬉しそうに声をかけてきました。

前回書いたのと同じように、話したのは簡単なことばかりですが、おじさんが言うには、ここのお店は香港で一番いいとか、日本は物価が高すぎるとか。
面白かったのは、「ポーレイ茶は年寄りがよく飲むお茶で、若い人はソウメイ茶を好んで飲むんだよ」という話。(うーむ、このおじさん、私達を「おっさん趣味だなあ」と思って観察していたんでしょうか…)
そういえばたしかに、ポーレイツァと頼んでも寿眉(ソウメイ)茶を出されたことがあるのです。ソウメイ茶は嫌いではありませんが無難な感じのお茶。個人的には、飲茶にはプアール茶の方が合う気がするんですが…若い人はあまり飲まないんですね。

さて、これで点心を三ついただいたので、残るはあと一つ。

最後の一つは、もう絶対これ、と決まっています。これまた甘い点心の「千層糕」です。
どんなものかというと、まずグーグルで画像検索してみましょう。
…ご覧になりましたか?こんな感じの、カスタードが層になった蒸しケーキです。
以前もここで食べたことがあるのですが、これがまたおいしくって!ぜひもう一度食べたいのですが、なかなかタイミングが合わず、一度しかありつけていないのです。

おじさんに、千層糕が食べたいと話すと、今は回っていないけどそのうち来るよ、と言うのですが、これがまた、しばらくまっても来ない。
今回も無理かな~とあきらめかけていたところで、おじさんに、「ほらほら」と促されました。
見ると、私が見ていたのとは別の方向で、お客さんが千層糕を持っているではありませんか!いつのまにか出ていたワゴンが千層糕を売っていたのです。

あわてて席を立ってワゴンに駆けつけると、なんと残り一つ!
すんでのところで確保し、嬉々として席に戻りました。

で、これが、その千層糕。


な、なんか、他の画像と違う。最後の一つ、端っこだったせいか、層が層になっていない!(笑)
まあ、この大雑把さもまた蓮香楼らしくていいんですけどね!

味はもちろん問題ありません。しっかり濃いめの中華風カスタードがおいし~い!むしろ層が崩れているせいで、カスタードの部分が多くてお得だったかも。ホワホワの馬拉糕とは違う、どっしりとした点心です。

ということで、おじさんのおかげで食べたかった千層糕にも無事ありつけ、大満足の朝飲茶でした。

なお、前の記事の3点を満たすオヤジ度の高い茶楼といえば、他に灣仔(ワンチャイ)の龍門大酒楼もあります。
ただこちらは、蓮香楼よりさらにローカルで、にぎやかで活気があるというより、孤高のオヤジ達が個別にくつろいでいると言った雰囲気。相席にはなりませんでしたが、その分おじさんたちとの接点もないので、旦那は蓮香楼のほうが好きだそうです。

お店のレトロ感は龍門大酒楼の方が高いかな。興味があればそちらもどうぞ!

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