香港・24:狭くなっていくビクトリアハーバー

尖沙咀と中環の間の交通手段と言えば、今一番便利なのはおそらくMTRでしょう。
でも私は、以前はスターフェリーがお気に入りでした。
スターフェリー乗り場が現在よりもだいぶ中環に近く、マンダリン・オリエンタルホテルの正面あたりにあったため、使い勝手がよかったのです。(そのうえ料金が安いし!)


その場所は、写真の通り、現在埋め立て中。
ここがかつて海だったなんて、初めて見た人にはわからないでしょう。

香港は、現在の東京周辺がそうであるように、埋め立てを繰り返しながら発展してきた街です。土地が足りなくなったら埋め立てる、というのは、ごく自然の成り行きなのでしょう。

でも、なんだかちょっぴりさびしい。
この赤い土で埋め尽くされた場所を、かつては、木の葉のようなかわいらしい形のスターフェリーがゆらゆらと漂っていたのです。

埋立地にはクレーンが高々とそびえ、香港の高層ビル群と競い合っているかのよう。このまま埋め立てられて行ったら、ビクトリアハーバーがなくなっちゃうんじゃないかなあ?
行き場をなくしたスターフェリーが、まるで干上がった水たまりで跳ねる魚のように、埋立地でぴょんぴょんしているところを想像して、おかしいような悲しいような。

まあ、100万ドルの夜景はハーバーがあってこそですし、計算高い香港の人たちが、その観光資源をみすみす失うなんてことはないでしょうけれど、でもちょっと心配。
よそ者の私たちがあれこれ言うことではありませんが(東京だって埋め立てまくりだし)、スターフェリーの住処は確保しておいてほしいなあ。

★香港2010年旅行記 目次