一人で街歩き⑥ ハッピーバレーの西側は:香港・11

しょうもない話が長くなっていますが(笑)。
ハッピーバレーの終着点でトラムを下車し、エッグタルトの補給(本日2回目)を済ませ、いよいよ繁華街方面へ徒歩で向かいます。まあそんな大した距離ではないはずですが、知らない道なのでちょっと不安。

前回見た競馬場入り口から歩き始めてすぐ、競馬場の西側で、植物園のような不思議な場所を目にしました。

塀に覆われた敷地はだいぶ広いようでしたが、開け放たれた入り口から中の様子が見えました。
この植物は何なんでしょうね?柑橘系っぽい小さなオレンジ色の実が、わんさか実っています。最初は植物園かと思いましたが、同じ種類の鉢植えがこんなにあるのは変だですよね…造園業者さんかな…

男性が一人、植物に水を撒いています。その水しぶきと柔らかい光の加減、鮮やかなオレンジ色が相まって、なんだか幻想的というか…うまく言い表せませんが、夢の中の風景のような感じでした。

そしてもう一つ印象的だったのが、男性の表情

景色は幻想的なのに、水を撒く男性の表情が険しいんです(苦笑)「怒った顔の佐藤二朗(俳優)さん」って感じかなあ。

この不思議な光景は、私の中で10年間「ハッピーバレーの不思議な場所」として寝かされたままでした。
が、今回改めてGoogle Mapを確認し、その正体(?)がわかりました。

なんと、墓地でした。
巴斯墳場(Parsee Cemetery)、だそうで。

Parseeとはペルシャ系ゾロアスター教徒のことで、ここは19世紀にインドから香港にやってきたParseeのために作られた専用墓地だとか。植物園か造園業者と思っていたのに、お墓だったとは!(だから幻想的に見えたのかなあ…)

なお巷の写真を見ると、あのオレンジ色の植物はいつもあるわけではないようです。私はいいタイミングで見られたのかも。

さて、そうとはしらずにお墓を見た後、さらに道沿いにテクテク歩きましたが、

だんだん、不安になってきました… だって、道が。

歩道が、狭い(笑)看板をくぐらないと歩けない。そもそも人間が歩く前提がない感じです。
でもほかに道はない!ということでひたすら歩くと、前方に人影が見えました。

勝手に心強く思いつつ、彼らのあとに続くように歩いていくと、

今度は見るからにお墓な場所にやってきてしまいました。このお二人はお墓参り?
ちなみに、先ほどの巴斯墳場とここの間にも大きな公共の墓苑があるそうです(が、歩道からは気がつきませんでした)。

ここは天主教聖弥額爾墳場(St. Michael Catholic Cemetery)というカトリック教会のお墓だそうです。
奥にある緑色の屋根の建物は教会で、歴史的な建築物だとか。このときは、『わー、異教徒が勝手に墓地に入ってしまった』と申し訳なく、奥へは行きませんでしたが、せっかくならちゃんと見ておけばよかったかな。

この墓地の門の一つには、サタンをぶっ潰す…じゃなくて退治する天使の像が。大天使ミカエルでしょうか?

なお、ここからさらに北側には、イスラム教徒のお墓もあるそうです(が、それも気がつきませんでした)。
つまり私が歩いたルート上に、ゾロアスター教、公共、キリスト教、イスラム教の四つの墓園があったわけです。

要するに、ハッピーバレーの競馬場西側は、ほぼ全域がお墓なんです!知らなかった…
でも、さまざまな宗教の墓地が隣り合って並んでいるって、お互い認め合っているみたいで、なんだか良いですね。

お墓の話はここまで。で、大天使ミカエルの次の写真は。

な、なんだこれ?一体どういうシチュエーション…

これ、道沿いに飾られている馬のオブジェ(?)なんです。競馬場が近いからでしょうか…
馬の体にはきれいな花が描かれているのですが、手前にポインセチアがあるのでむしろ迷彩柄みたいになっちゃってる(笑)

その奥は、レストランか何かのようです。

男性が何か作業をしています。なかなか良い雰囲気。

このお店が見えたあたりでようやく、市街地に続く大きな通りにたどり着きました。あー、この喧騒が懐かしい…。

トラムが通る道まで行くにはもうしばらく歩きますが、ここまでくればほっと一安心です。ここから湾仔あたりを目指します。

なお、ハッピーバレーでエッグタルトを買ってからここまでにかかった時間は、17分でした(写真を撮った時間を確認しました 笑)。ものすごく歩いた気がしましたが、写真を撮りながらで17分なら、まったく大した時間じゃなかったですね… 

※これは2011年、今から10年前の旅行記です